独学5年目フリーランスデザイナーの、『営業しない』営業方法3つ
19歳でデザインにハマってから6年経ち、今はグラフィックデザイナー として生きています。
今、色々なお仕事をやらせてもらっていますが、自分は直接ポートフォリオを持ち込むスタイルの営業をしていません
直営業の代わりにしてきたことが「3つ」ほどあり、基本的には相手からきたご依頼をお受けする形で仕事をしてきました。
本当に時間はかかりましたが、去年ごろからやっと生計が立つようになりました。このやり方にはメリットもあったし、大変な部分もありました。最初にことわっておきますが「営業しない方がいい」ということを言いたいわけではありません。実際そうは思いません。
ただ、いまの時代の選択肢の一つとして「こういうのもある」ということを残したく、書いてみます。
『営業』の代わりにしてきたこと
具体的に、僕が企業への直営業の代わりにやってきたことは、
- とにかく誰よりも練習する
- 過程をSNSで発信する
- ジャンルを飛び越える
この3つです。
説明していきます。
1.とにかく誰よりも練習する
営業はしていませんが、「練習」はたくさんしたと思います。
「とにかく誰よりも練習する」ことのメリットは、
- 毎日やっているので純粋にスキルが上がる
- 「自分のスタイル」が出来上がっていく
ということです。
19歳で「自分のバンドのグッズを作るため」にデザインを始めましたが、僕は美大ではなく普通の大学に通っていたので、当時はデザインに関する経験もコネもありませんでした。
この状況に対し、こう思いました。
「美大でもないし、昔から絵が描けたわけでもない自分が、今から既存のデザインマーケットで“スキルの高いデザイナー”として勝ち抜いていくのは難しすぎる」と。
そこで、「上手いデザイナーではなく、個性的なデザイナーになる」ことを自分の将来的なデザイナーキャリアの目標として設定しました。
そこから毎日、とにかくイラレ(PCのデザインソフト)に触れ続けました。オリジナルスタイルを作るには「毎日誰よりもやる」しか方法がないと思っていました。大学の授業中もデザインばかりしていました。
僕が初めて作ったフライヤーがこれです。
今見ると技術的には「下手」ではあるのですが、「自分がやりたいスタイルの原石」みたいなものは見えたので、ヘンに様々なスキルに手を出すのではなく、「テイストを残しつつ、質を上げる」練習に没頭しました。
↓
細かい作品も含めたら、1000個以上は作っていると思います。
その過程でだんだんと、やっている本人にしか感じ取れない自分なりのコツみたいなのが、見えてきます。
ちょっと、ゲームをやっているときの感覚に近いです。
この「言語化できない自分だけのコツ」は、どれだけ有益記事を読み漁っても得られない感覚だと思います。
そのコツを頼りに、
「同じ人が作っている感じ」は残しつつ、その世界観の中で作風に抑揚を持たせてみる。
こういった練習を、5年間、やってきました。こうやって自分の色を確立させていくと、仕事をいただく時も自分のスタイルを気に入られて頼まれる場合が多いので、比較的自由に作らせてもらえることが多くなります。
2.過程をSNSで発信する
また、僕はこれまでの「過程」を、ほぼ全てSNSで発信してきました。
【お知らせ】
5/13(sun)に開催される『新代田環七フェスティバル2018』 @livehouse_fever のフライヤー、MAP、タイムテーブルデザインを担当させて頂きました。
新代田を開拓し新たな活気を作り上げた主催の村長 西村さんをイメージして。
テーマは穏やかな日曜日です。 pic.twitter.com/vYDljyEJ9q
— 新井リオ (@_arairio) 2018年4月30日
「練習過程を発信する」ことのメリットは、
・毎日練習している姿勢を人間的に評価してもらえることがある
・SNSにたまった作品がいつの間にかポートフォリオになり、営業の役割を果たす
ことにあると考えます。
前にこんなツイートをしました。
「お仕事ください」って書いておくよりも、毎日頭抱えて作品創って、未熟でも公開して、日に日にレベル高めたら、自然と仕事やってくる。レベル的にもそうだけど、なにより毎日やってる熱意とか、伝わると思いますよネット上でも。必死な状態って、ちょっとダサくて、最高にかっこいいんですよねえ
— 新井リオ (@_arairio) 2017年11月13日
もちろんある程度のスキルがあることは大前提ですが、できるなら、「お仕事ください」と待っている人よりも、実際に毎日汗かいて泥臭くなりながらも作品を生み出し続けている人に仕事を頼みたいと思いませんか。
3.ジャンルを飛び越える
「デザイナーなら広告業界でしょ!」と思っていませんか。
でも、デザインって想像以上に汎用性が高く、「THE広告業界」じゃなくても使えるスキルです。
例えば、
・音楽レーベル→CDジャケットのデザイン
・出版社→装丁デザインや挿絵イラスト
・飲食店→メニューやロゴ
など。
僕はもともと音楽をやっていたので、音楽関係のデザイン仕事を積極的にやらせてもらっていました。
音楽業界にデザイン需要はたくさんあるけど、みんなミュージシャンなので「デザイナー」のつながりがなかったりします。そんなとき、「あの人デザインもできるよね」みたいな感じで仕事をいただいていました。
自分が既に属しているコミュニティなどに目を向けてみるのもひとつの手だと思います。
まとめ
これが、僕が「直営業をせず生計を立てるようになった」5年間の道のりです。
一言にまとめるなら「考えながら、めっちゃやる。」のが大事なのかなと思います。
美大でもないし昔から絵が上手いわけではなかったけど、「こんなにやって上手くならなかったらおかしいといえるほど、今から練習すればいいんだよな」と本気で思っていました。ただ、がむしゃらだけが正義ではなく、「この努力が正しい方向に向かっているか」という冷静な視点は常に意識するべきだと思います。
そして、あくまで、僕は「営業しないアプローチを選んでみた」というだけであって、「営業しない方がいい」わけでは決してありません。
この記事を通して伝えたかったのは、「デザイナーになりたいのならば美大に行かなければならない…」「仕事をゲットするには営業しなければならない…」といった固定観念を持っている人に対しての「そんなに悲観的に捉えなくていいんだよ」「視点を変えたらやりがいのある楽しい世界があるよ」というメッセージです。
練習は、本当は楽しいのです。「毎日やる」を着実に積み上げていった人にしかわからない世界というのが、確実にあります。
焦る気持ちも痛いほどわかりますし、僕もいまだに悩みの多い毎日ですが、「今日の自分にできることを、出す。」
これを繰り返していけば、きっと夢は叶うと信じています。
ブログはじめて拝見しました。
私はリオさんと同い年で、広告会社に所属してグラフィックデザインの仕事を行なっているものです。
とても感慨深い話を見させていただきありがとうございます。
どこかで偶然お会いした時は、デザインの仕事についてお互いお話しできればいいなと思います。