独学フリーランスデザイナーへの道。本→勉強→仕事の取り方まで全て

「イラストレーター」と聞いて、Adobe Illustratorが思い浮かぶのがデザイナー。

職業?あ、絵描きさんかな?となるのが普通の人。19歳の頃の僕がそうでした。

知識は皆無で、あったのは好奇心だけ。それから6年が経ち25歳になった今、グラフィックデザイナー・イラストレーターとして生計をたてています。

好きなモノを仕事にする素晴らしさは何にも代えがたい幸福で、毎朝机に向かってパソコンを開くのが本当にワクワクします。

今日は、僕が独学でデザイナーになった経緯→勉強方法→本の紹介→仕事の取り方まで、なるべくわかりやすく書いてみようと思います。




 

もくじ

はじめに(経緯)
1.目標をとにかく明確にする
2.王道はで勉強する
3.自分がかっこいいと思えるものがなぜかっこいいのか書き出す
4.営業する前に、発信してみる
5.クラウドソージングに登録する
6.デザインを、デザイン以外の分野で使う
7.環境は自分でつくる
まとめ

 

はじめに(経緯)

19歳でデザインを始めたきっかけは、「自分がやっていたバンドのグッズを自分で作りたかったから」です。音楽活動をしていると、意外とデザインが必要になる場面が多いんです。

ロゴ、フライヤー、ポスター、CDジャケット、その中でも特にグッズは頻繁に作るのですが、周りにデザイナーの知り合いがいなかった僕は「うーん、じゃあ自分でやってみようかな」と、そのくらいの興味から入ったと記憶しています。

 

1.目標をとにかく明確にする

つまり僕は「デザインがやりたい」のではなく、「グッズが作りたいからデザインスキルが必要」だったのです。正直、はじめはデザイナーになるつもりはありませんでした。

でも、この入り方がとても良かったと今は思います。

なぜか?

「デザインができるようになりたい」という方は多くいますが、同時に「勉強がなかなか続かない。どうやって勉強していいかわからない。」と悩んでいる方が多いように思います。

たぶんそれって、目標が曖昧なんです。

ちょっと極端な言い方ですが、“デザイン力の習得” だけを目標にしてしまうと、いざデザインができるようになったところで実際にそのスキルを使って成し遂げたいことが特にない、という状況が生まれます。

だからこそ、闇雲に勉強を始めるより前に、

・デザインスキルを使って、具体的にどんな活動がしたい?
・どんなテイストのデザインができるようになりたい?
・マルチ職人系デザイナーになりたい?
・個性派アーティスト系デザイナーになりたい?

こんな風に、目標をとにかく明確にしてみるのがいいと思います。

一概にデザインスキルといっても幅広いですから、「とりあえず勉強!」が目的になると、手に負えないくらいの量があります。そういう意味でも「結局、そのデザインスキルを使ってどんな創作活動がしたいのか」がある程度明確になっていれば、どんなスキルから手をつければいいのがわかり、とても効率的。

ということで、偶然ではありますが、「グッズ製作」という、デザインスキルを使って成し遂げたい目標が明確にあり、まずどんなスキルから身につければいいかがわかりやすかった僕は、なかなかいいスタートをきれたのではないかと、今になって思います。

では次は勉強方法編。

 

2.王道は本で勉強する

いくら独学!オリジナリティ!とはいえ、まずは王道のやり方を知っておく、という過程は絶対に必要だと信じています。
多くの人が、ここを抜かしてしまうように思います。

からっぽの脳内図書館から味のある作品が生まれることはありません。
勉強を怠る人に限って、表面上の「コツ」に頼ろうとしてしまいます。基本的な使い方を知ってる人と知らない人では、生み出される表現の幅に雲泥の差が生まれます。まずは脳内図書館に彩りを。

で、そのやり方というのは、もう自力で勉強するしかないと思っています。

効率良くうまいことやりたい人は多いかもしれないですけど、
純粋に勉強、してますか。やっぱり基礎の勉強が大事なのです。

で、この勉強を、学校に行くか、独学でやるか、ということになるんですけど、お金と時間に余裕があり、目標も明確にある方は、学校に行くのもいいと思います。

ただ、僕はそれをやりませんでした。
理由は、「本とインターネットにより、これだけ格安または無料で情報を得ることができる時代、まずは自力でできるところまでやってみよう。限界を感じたら学校も検討しよう。」と思ったからです。

美大は、スキルよりも「思考力」を上げる場所だと思います。美的感性を養うことができるので、アーティスト志望の人に向いているかもしれません。もちろんデザイナーも美的感性や思考力はあったほうがいいです。

しかし「美大にいかなければデザイナーにはなれない?」と不安に思っている方がいると思うので、あえて言い切りますが「そんなことはない」です。

「スキルを身につける」だけなら、本とインターネットと実践の繰り返しでなんとかなるというのが自論です。

今回は「職業としてのデザイナー」の話なので、実用的な話に振り切り、僕が使ってきた本を紹介します。

 

ソフトの使い方を知る編

使うソフトは、ひとまず「Illustrator」で十分だと思います。第一線で活動するほぼ全てのグラフィックデザイナーが使うソフトです。ロゴ/フライヤー/ポスター/バナー/グッズデザイン制作…これら全てイラレだけで完結します。(もちろんPhotoshopも使えた方がいいのですが、レタッチや加工に強いソフトであること、また個人的にイラレの方が簡単だと思うので、まずはイラレを買ってみて慣れるのがいいかと思います。)

基本は月額制ですが、Amazonで、1年単位で買うのがおそらく一番お得です。特に学生は半額以下(月980円ほど)で使えるので、まずは手に入れちゃいましょう。

基礎的なソフトの使い方は一通り知っておきたいです。イラレなら、レイヤーの使い方、ペンツールでのベジェ曲線の書き方、レイアウトの基本操作、フォトショなら、最低限の加工、色付け、切り抜きなど、まあ挙げるとキリがありませんが、こういった基本的な操作です。

で、これらは本で一通り勉強できます。

僕が最初に使ったのはこれ。

初心者の方は、基礎はもうこの本1冊でOK。イラレとフォトショどっちも学べる。

最初は用語とかよくわからないと思いますが、まずは「こんな機能があるのか!」と知ることが大事なので、一回全部読む。
これが後に、かなり生きます。

正直、スキルは実践の中で身につけていくしかないので、1周目は、そんなに真面目にやりすぎなくて大丈夫。

こまった時の教科書/参考書代わりに1冊持っておきましょう。
Kindle版も出てます。

 

デザインの基礎知識について知る編

本屋でぱらぱら読みして、面白すぎて購入した本。
学校の1年間の授業の特にためになる部分だけ全部集結させたらコレになった、くらいの濃さ。

心理的なアプローチも多かったりして、超説得力あります。
これはいまだに読み返す。超おすすめです。

 

これは、、笑っちゃうくらい良い本です。Amazonの「グラフィック入門書」部門1位。納得。

デザイナー歴10年以上の著者が、今まで悩みに悩んで勉強して身につけてきたんだろうなーというデザイン知識、ポイントを、わかりやすすぎる具体例とともにこれでもか!と披露してくれています。

ほんと、学校通わないでこれ10回読む方がいんじゃないかな。これもKindle版ありますね。

では次のステップへ。

 

3. 自分がかっこいいと思えるものがなぜかっこいいのか書き出す

先ほどの本で基礎をインプットした僕は、実際にイラレを使って何かを作ってみたくなりました。

しかしどの「デザイン教則本」を読んでもピンと来ませんでした。

「このださかわちゃんキャラクターを描けるようになりたいわけじゃないんだよな…」とか思っていました。

今考えると生意気ですが…せっかく大好きなデザインに触れているので、「作りたいものを作りたかった」んですね。その方がモチベーションも上がるので。

そこで僕は、こんな練習法を考えました。

簡単にいうと、

「自分が純粋にかっこいいと思えるモノ」にたくさん触れて、それがなぜかっこいいのか、気づいた点を書き出して、真似してみるという勉強法です。

オリジナルアウトプット練習法》

1.まずは、本屋で「かっこいい!これ好き!!」思えるデザインが集まった本を買う。

2.その本にでてくるデザインの、どこがかっこいいと思うのか、個人的な意見を箇条書きにする。

3.書き出した要素をちりばめたデザインを自分で実際に作ってみる
(その時、どうやって再現すればいいかわからない手法が出てくるので、いろんな言葉でググって、再現してみる。←これが最高の勉強になっている。)

自分がかっこいいと思う表現を自力で再現できるようになることが、「良いデザインが作れる」ということなのです。

だから、まずは既存の良い作品知ること。で、それができるようになること。

 

ということで、僕が実践アウトプット法のために参考にした、「かっこいい本」を2冊紹介します。

クールなフライヤーデザインがたくさん掲載されていて、手法の簡単な解説が載っています。

繰り返しますが、すでにどんな素晴らしいフライヤーが世の中にあるのかを知らずに良いフライヤーは作れません。

こういうの読んでたくさん吸収した方がいいです。このシリーズに出てくるフライヤー例、ほんとうにどれもかっこいい。

 

世界中のデザイナーが作った多種多様なパターンのロゴが数百点掲載されています。
ロゴデザインに興味がある方、絶対読んだ方がいいかと。

線画ロゴ、立体ロゴ、イラストロゴ、一通り載ってます。ここまでロゴに特化した本は他にないんじゃないかな。

 

ただ、もちろん本を読んだだけではできるようにはならない”ので、先ほどの手順である

  1. なぜこれをかっこいいと思うのか、ポイントを箇条書きにする
  2. その要素を入れて、自分でもフライヤー/ロゴを作ってみる
  3. その際にどうやって再現したらいいかわからない箇所が出てくるので、ひたすらググって、真似する

をやって、自分で1つ作品を作ってみます。

「学校の講義をなんとなく聞いて、やりたくない課題をいやいややる」の100倍、楽しくてためになる。

まだ始めたばかりなんだから、下手でもなんでもいいのです!楽しみましょう~!

では、次は仕事編。

 

4. 発信してみる

実は僕は持ち込み営業をしたことがありません。

最初に断っておくと、「営業しないほうがいい!」というわけでは全くありません。僕は今後積極的に営業をしていこうと思っているくらいです。

ただ、SNSのある今の時代「営業しない営業法がある」ということも、何かのヒントとして伝えられたらと思い、書いてみます。

先に話したように僕は「バンドグッズ」や「バンドのポスター」を作るためにデザインを始めたので、そのときのレベルや完成度にかかわらず「どんどん作って、未熟でも出す」必要がありました。

デザインを始めたばかりの頃のフライヤーとか、今見ると本当に恥ずかしくなる出来栄えで、どう考えてもまだまだ練習過程のクオリティだったのですが、実際に行われるイベントのために作っているので、とりあえず発表してみんなに見せなければなりません。

ただ、割と早い段階で人目につく活動をしていたため、これが勝手に営業の役割も果たしてくれていたのです。

自分ではまだまだ練習過程だ…と思っていても、例えば個人のクライアントさんであれば、テイストを気に入って仕事をくれる人がいたりします。僕は初めてIllustratorを触った1年後くらいに他のバンドから依頼を受け、少しずつですが仕事としてデザインをやらせていただけるようになりました。

また、人に見せることを前提で作ると適度な焦りも生まれるので、スキルの成長スピードが加速したようにも感じます。

ちょっと今っぽいですが、企業への営業で1対1の交渉をする前に、今日作ってみたものをネットで発信し、多くの人に見てもらうというのは、方法としてアリなのではないかと思います。

もちろん営業を繰り返して仕事をゲットする方法も大事ですが、時代がどんどん変化しているので、少なくとも「インターネットがこれだけ普及し、直接会わなくとも自分を不特定多数の人へ同時に売り込み、リモートで仕事ができる現代において、まず、今この瞬間からできることがある」ということは伝えたいです。

仕事がくるって、逆の立場で考えた時、依頼者はお金を払って頼むわけですから、やっぱりやる気のある人にやってほしいじゃないですか。

「この人すごい頑張ってるなあ!」ってのは、いまの時代、確実にネット上でも伝わると思います。だから、とにかく出す。

地道に自分の作品を発表してレベルを高めている人、斜に構えて「お仕事ください」とだけプロフィールに載せている人、どちらにお仕事頼みたいかは明白だと思います。

『営業しないフリーランス仕事論』については、こちらの記事でかなり詳しく書いています。

独学5年目フリーランスデザイナーの、『営業しない』営業方法3つ

 

5.クラウドソージングに登録する

また、営業をせずに仕事を得る方法として、「クラウドソージングサービス」があります。

「クラウドソージング」とは、仕事をしてほしい企業と、仕事をしたいクリエイターを、オンラインで効率よく繋ぐサービスのこと。

これはもう…絶対登録したほうがいいです。理由が2つあるので説明します。

やるべき理由1:練習過程がお金になるかも

先程、「過程から発信する」ことで、自然な形で営業活動ができるといいました。
では、その練習過程さえもお金にしてしまうのはどうでしょう。

第一に、さっきから練習過程、練習過程、って、「何を練習すればいいんだ!」という感じですよね。
そこで、クラウドソージングに掲載されている案件たちを、「めちゃくちゃ実践的で、実際にお金の発生する練習問題」のように使うのです。

僕が最初の頃使っていた『CrowdWorks』というクラウドソージングサイトには、多岐にわたるジャンルのデザイン案件(ロゴ/フライヤー/ポスター/グッズ/ゲームのキャラクター等)が登録されています。

こんな感じ

で、ここから気になる案件をひとつ選び、本当に作ってみるのです。

実際の案件なので言うまでもなく実践的だし、もし自分が作った作品が依頼者の目にとまり採用されたら、デザイン料まで支払われる

練習でもなんでも、どうせ作品をつくるなら、「自分の中だけで終わらせる」より、

「誰かの要望に沿うように実用的に作ってみて、しかも運良く採用されたらお金も入ってくる」方が絶対にいいですよね。

毎回採用とまではいきませんが、例えば「毎日1件、練習がてら案件をこなす」と決めて1ヶ月間続ける。

で、そのうち1案件が採用されて7万円のデザイン料をもらうことができたら…かなりモチベーション上がりますよね。

改めて手順をまとめます。

【お金がもらえるかもしれない!デザイン練習法】

1. クラウドソージングに登録する

2. 検索機能を使い、気になる案件を探す

3. “実践的な練習”だと思って、一度作って応募してみる

4. もし採用されたらデザイン料としてお金(数万〜10数万円)がもらえる

まさに今の時代だからできる練習方法です。

「自分のレベルはまだまだだから…」と思っている方。まだまだなら余計、早めに実践的な一歩を踏み出したほうがいいです。

どんな一流デザイナーにも「まだまだ」な時期はあったはずですが、小さな実践の積み重ねで今のレベルまで達したのです。

しかもこれなら、「直接営業に行って、軽くあしらわれて帰ってくる…」のような精神的ダメージを一切感じずに、「練習として作品作って、応募して、採用されたらラッキー!」くらいの感じでできるので、かなりハードルも低いと思います。

 

やるべき理由2:デザイン料の相場/リアルな現場を知れる

ちょっと裏技っぽい使い方ですが、登録さえすれば、たとえ実際に仕事をしなくても「絞り込み検索」という機能で、

① 実際にどのような要望で仕事は依頼されるのか

②デザイン料の相場はどのくらいなのか

③他にどんなデザイナーがいて、どんな作品を作っているのか

を見ることができます。つまり、デザイン料の相場/リアルな現場を、ネット上で知ることができるのです。

知れること①実際にどのような要望で仕事は依頼されるのか

かなり細かい要望などが見れます

 

知れること②デザイン料の相場はどのくらいなのか

自分がデザイン料を設定する上で、非常に参考になる

 

知れること③他にどんなデザイナーがいて、どんな作品を作っているのか

自分以外のデザイナーが、同じ要望でどんなデザインを作るのか知れる機会は、貴重です

 

独学のため、デザイナーの知り合いがいなかった僕にとって、CrowdWorksはリアルな現場を把握するサイトとしてもめちゃくちゃ参考になりました。

 

というわけで、

・実際にお金の発生する練習問題として使える

・デザイン料の相場/リアルな現場を知れる

という2つの理由から、クラウドソージングは全てのフリーランスクリエイターにとって最高のサービスだと思っています。

「既にデザインの経験がある人」も、「これから始めたいという初心者の方」も、どちらにもオススメ。

ちなみにこういったクラウドソージングサービスだけで生計を立てている人もいます。

僕のオススメはCrowdWorks (クラウドワークス)で、数あるクラウドソージングの中でもかなり有名で、案件も豊富だと思います。

 

 

また、既にある程度スキルがある方やフリーランスとしてがっつり独立したい方は、CrowdWorksの進化版、Crowdtech(クラウドテック)で仕事を探すのがいいと思います。

  • 継続で高額な収入の案件(20万~50万円以上)
  • リモートワークで自由に働きながら安定的な収入を得られる案件

に特化したサイトです。

昔だったら這いつくばって営業して獲得しなければならなかったこういった大型案件ですが、今はインターネット1つでお互いの需要を結んでくれます。

僕ももし現在の案件が急にストップしたら、こういったサービスをフルに使えばひとまず生きていけるだろうなという安心感があったりします。Crowdtechの案件は面白くて報酬が高いモノも多いので、ぜひ一度見てみると、夢広がります!

 

 

6.デザインを、広告業界以外の分野で使う

次はまた違う視点から。

仕事を得るヒントを違う角度で分析してみると、僕は「デザイン」というスキルを「音楽」の世界で使っていたことが、早い段階で仕事まで結びついた要因のひとつだったと考えています。

先ほども述べたように、音楽活動って、かなり頻繁にデザインが必要になってくるんです。でもみんなミュージシャンなので、デザインには詳しくないし、デザイナーの知り合いも特にいない。

そんなとき、「音楽の世界で生きているのにデザインもできる人」に話は集まります。

デザインって、実はどんな分野でも使えますからね。グラフィックデザイナーが必要とされるのは広告業界だけではありません。

見つけ方次第で、需要って本当にあります。

まずは身の回りの、いわゆる“広告業界”ではないデザイン需要にも目を向ける。

デザインを始めてから1年レベルのデザイン力で、「大手広告代理店を通した企業広告の仕事をいただく」というゴールを目指すのは厳しいとわかっていたので、“まずは身の回りから”需要をみつけて、仕事に繋げました。

僕の場合は音楽業界でした。
本当に恐縮なくらい光栄ですがこれまでTOWER RECORDS、ヴィレッジヴァンガード、Sony Music、SPACE SHOWER MUSICさんなどとお仕事をしてきました。どれも音楽につよい会社なので、僕のような「音楽畑出身のデザイナー」に早い段階で仕事が舞い込んできたのだと思います。

いつかはTHE 広告業界で大きな仕事がしてみたい方も、実績/経験が多いと優位に働くことが多いので、もう一度言いますが“まずは身の回りのデザイン需要”を探すの、良いと思います。

いきなりお金になればもちろんいいですが、最初のうちは「実際に人のためになにかを作る経験」として、無償でやってもいいのかな、と思います。今は目先のお金より「経験」の方が大事なので。

友達バンドのグッズでも、よく行くカフェのメニュー表でも、会社内のお知らせ用紙でも、所属しているサークルのポスターでも、友達にあげるメッセージカードでも、なんでもいいです。まずは実際に形にして、つくる。

 

7. 環境は自分でつくる

「自分は美大にいってないから…」というセリフをよく聞きますが、

もう、終わってしまったことは、考え方とこれからの自分の行動で「ポジティブなできごと」に変えるしかないのです。

僕ももちろん美大に行きたかったですが、今は相当な知識/スキルを本とインターネットで身につけられる時代です。一通りやった上でどうしても美大が必要だと判断したのなら、お金を貯めて、それからいけばいいのです!

でも僕は、美大や専門に行かなかったことをあえて長所にしよう、と考えました。
この状況を良く捉えると、美大でだれかに手法を教わったわけではないので、(あえてかっこよく言うと、ですが)良い意味で常識がすっぽ抜けていて、表現に制限がないのです。

そこで僕は「英語日記マガジン」と題した企画をInstagramではじめました。

内容は
「日頃、英語の練習がてら書いている英語日記を、毎日1つデザイン(イラスト)化して投稿していく」というもの。もう2年以上やっています。

学校の先生に「では、今後の課題は、英語で書いた日記に毎日イラストをつけてInstagramに掲載するように!」なんてことは言われないのです。

これは、英語とデザイン力を同時に向上させていく練習として僕が自分に課したタスクです。

環境は、自分でつくる。

おすすめは、とても今っぽいですが、Instagramをつかうこと。
毎日タグ付きで掲載すれば、絶対にだれかが見てくれます。反応をくれます。それをモチベーションと緊張感に変え、継続させる。僕は今、仕事をほとんどInstagram経由でいただいています。

やっていること自体は難しくない。

誰にでもできることを、誰よりもやる。

上達のヒントはそれだけです。

もう、やるしかないんです。

「努力」は、その大変さにフォーカスされがちだけど、本当に好きなものを対象にし、しっかりと戦略を立て、成長過程をゲームのように楽しむことができたら、実は「とんでもなく楽しいエンタメにもなる」と思っています。

 

まとめ

《デザイン独学勉強→仕事の取り方》

1.目標をとにかく明確にする

2.王道はで勉強する

3.自分がかっこいいと思えるものがなぜかっこいいのか書き出す

4.営業する前に、発信してみる

5.クラウドソージングに登録する

6.デザインを、広告以外の分野で使う

7.環境は自分でつくる

 

以上、かなり濃いめに書きました。正直すぐにスキルアップしてお金を生むようなコツはありません。
スキルを身につけるには「結果が出ない間の努力の継続」が何よりも大事だ思います。

まだ実らない潜伏期間の活動が、いつかの急成長を支える。

勉強って楽しいですよ。やらなければいけないネガティブなものではなく、やると夢が叶うポジティブなものだと思っています。

僕もまだまだの分際ですが、みなさんの新しいキャリアを心から応援しています。

 

本の紹介

さいごに、僕が使ってきた本やソフトを改めて紹介します。

 

 

まずは「イラレ」 を買うことで全てが始まります。「年2万6千円か〜(学生は1万1千円)」と思う方、これは投資です。
月額にしたら2000円ちょっとですし、のちに稼げる数十万、数百万という金額を考えたら、安すぎる投資です。将来の自分に期待して、まずは手に入れましょう。大丈夫です。

 

一人一冊持っていたい教科書。Kindle版もある。
デザイン参考書系だとトップクラスにわかりやすい。
イラレ、フォトショを使うとこんなことができるのか!と、まずは“知る”のが大事。

 

実践的なテクニックと知識はこの本で。心理的でわかりやすいので、デザイン以外にも使える。
空間/プロダクトデザイナーの知り合いも、この本のこと褒めてました。

 

どうやってレイアウトするのー、色はどうやって決めれば良いのー、など、基本的なことがだいたいわかります。
とっても実践的。まさに「なるほど!」という感じ。これもKindle版あります。

 

もう、眺めてるだけでもかっこいいようなフライヤーデザイン集。
フライヤーつくるときはよく参考にします。まずはこの本自体のデザインがかっこいいのが信頼できます。

 

多分現存のロゴ集でも傑作の本。欧米テイストですが、ロゴデザインに興味のある方は一読を。こういう本はちょっと高いんですけどね。でも価値あります。

 

で、じゃあそのロゴをどうやって作るのか、細かいテクニックや、文字の選び方などはコレ。細かく載ってます。

 

中級者向け。これ読んで、生産効率3倍くらい上がった気がする。
デザイン事務所で働いてたらこういうテクニックを先輩に教えてもらえるのかもしれませんが、僕みたいな独学者にはこういう本が強い味方になってくれます。

 

面接の際にポートフォリオは必須なので、やっぱり個性の伝わるものにしたいじゃないですか。この本では44個の実際のポートフォリオが掲載・解説されていて、とても参考になると思いました。

 

モチベーションが上げるためにこういうの読むのも良いです。日本の20~30代のいけてるクリエーターが50組。刺激受けます。

僕が使ってきた本はこんな感じです。

たとえ全部買っても、美大、専門学校に通う数百万の費用に比べたら安すぎる投資です。気になる本があったら、まずは読んでみてください。

 




 

Profile

Rio Arai  新井リオ

イラストレーター/作家/ミュージシャン

イラストレーターとしてAdobe CC Logo Remix、WIRED.jp連載イラストなどを手がける。著書『英語日記BOY』がAmazon英語の学習法ランキング1位を記録(現在12刷、7万部)。バンドPENs+のボーカルとして日本で4枚のCD、アメリカで1枚のレコードをリリース。

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